Verraについて:カーボンクレジットプロジェクトのタイプ

Verraは、ボランタリー市場において最も汎用されているプログラムのVCS(Verified Carbon Standard)を運営するNPOです。カーボンオフセットに取り組んでいる企業はVerraに登録されたプロジェクトからクレジットを購入することがありますが、すべてのクレジットが同じというわけではありません。プロジェクトタイプが異なるためです。これは環境影響だけでなく、ステークホルダーの認識にも影響します。 このガイドでは、Verraで認証可能な様々なプロジェクトタイプについて説明します。最も広く使用されるカテゴリーに加え、Verraに追加されたプロジェクトタイプについても紹介します。

Verraのプロジェクトの分け方
1. 農業、林業、その他の土地利用(AFOLU)
AFOLUは、Verraで最も活発に利用されている分野の一つです。このカテゴリーには、土地の管理方式を変化させることで、温室効果ガスの排出を回避したり、炭素を除去するプロジェクトが含まれています。REDD+(途上国の森林減少対策)、再造林、造林、森林管理システムの改善、土壌炭素の増進などが体表的なプロジェクトタイプです。このようなプロジェクトは、生物多様性の保全や地域社会への貢献のような強力なコベネフィットを提供することがあります。
2. エネルギー(再生可能/再生不能エネルギー)
太陽光、風力、水力、バイオマスなどのクリーンエネルギー源で発電し、温室効果ガスの排出を削減するプロジェクトがこのカテゴリーに属します。このようなプロジェクトは、化石燃料ベースの電力を代替し、中でも再生可能エネルギーへのアクセスにまだ制約がある地域で多く活用されています。また、化石燃料をエネルギー源とするシステムの効率改善に重点を置く従来型のプロジェクトも一部存在します。
3. エネルギー需要
このカテゴリーのプロジェクトは、エネルギーが使用されるところで消費を減らし、温室効果ガスの削減を目指します。産業分野におけるエネルギー効率の改善、建物の改修(retrofit)、省エネ家電や照明の導入などがその代表的な例です。このようなプロジェクトは、エネルギー生産そのものの必要性を低下させるため、上流段階の排出量まで削減する効果があります。
4. 廃棄物の処理と処分
このカテゴリーのプロジェクトは、埋立地や排水、有機性廃棄物から発生する温室効果ガスの排出削減を目標としています。最も一般的なタイプとしては、埋立地でのメタンガスの回収、嫌気性消化システム、堆肥化システムなどが挙げられます。このようなプロジェクトは、廃棄物の管理方法を改善することで、強力な温室効果ガスであるメタンの排出削減に役立ちます。
5. 家畜と家畜排せつ物の管理
このプロジェクトは、動物の排せつ物や飼料の管理から発生するメタンや亜酸化窒素の排出削減を目標としています。集約的畜産が行われる地域では特に重要です。
6. 燃料からの漏出
このプロジェクトは、石油やガス、石炭の採掘、パイプライン輸送のような化石燃料活動において発生する意図せぬ排出を対象とします。代表的な例としては、メタン回収、ガスフレア低減、排出防止システムなどがあります。このプロジェクトは、特にエネルギー部門で重要な役割を担っています。
7. 産業ガスからの漏出
このカテゴリーには、冷蔵、エアコン、電子機器などでよく使用される強力な産業ガスを回収、破壊するプロジェクトが含まれています。このようなガスは、地球温暖化への影響度が非常に高いため、その破壊・代替は環境負荷を減らす利点があります。


Source: CnerG analysis of Verra Registry data
8. 交通
交通プロジェクトは、ヒトやモノの移動から発生する排出を削減することに重点を置いています。ここには低炭素燃料への転換、自動車のEV化、公共交通機関または非動力系交通手段への転換などが含まれます。貨物システムの物流効率化や配送ルートの最適化などに重点をおいたプロジェクトもあります。
9. 鉱業と鉱物生産
このプロジェクトは、鉱石の採掘、粉砕、鉱物の加工のような活動から発生する排出を削減することを目的とします。主な方法としては、低炭素燃料の使用、重裝備のアップグレード、現場への再生可能エネルギーシステム設置などがあります。このカテゴリーの排出削減は、鉱業部門の広範なESG改善とともに行われることがあります。
10. 化学産業
このカテゴリーには、化学製品の生産または消費において発生する排出を削減するプロジェクトが属していますが、特に強力な温室効果ガスを含んだ化学製品と関連することが多いです。一般的な例として、フォームの製造や冷却システムで使用する冷媒による排出の削減があります。
11. 金属生産
このカテゴリーには、アルミニウムや鉄のような金属の生産過程において排出を削減するプロジェクトが属しています。主なアプローチとしては、エネルギー効率の改善や燃料転換、工程中に発生する熱の回収などがあります。一部の場合には、低炭素型材料の使用、リサイクル率の向上などでクレジットを創出することもあります。
12. 建設
このカテゴリーのプロジェクトは、インフラ設計及び建設段階での排出削減に重点をおいています。ここには低炭素型建材や高性能断熱材の使用、建物のライフサイクル全体の排出量を削減するサステナビリティ設計戦略などが含まれています。
13. エネルギー流通
このカテゴリーには、送電線のアップグレード、電力網システムの技術的要因による電力損失の低減など、エネルギーの供給方式を改善するプロジェクトが属しています。このような改善は、エネルギー損失を防ぎ、特に開発途上国や急成長する市場においてエネルギーシステム全体の排出削減に役立ちます。
14. 製造業
このカテゴリーは、産業生産施設内での排出削減を取り扱っています。代表的なプロジェクトタイプとしては、燃料転換、製造工程の最適化、省エネ機器の導入などがあります。このようなプロジェクトは、主にセメント、鉄鋼、繊維のようなエネルギー・熱集約型産業によく適用されます。
15. 二酸化炭素回収・貯留(CCS)
CCSプロジェクトは、産業施設や発電所から排出される二酸化炭素(CO₂)を回収し、地下に貯留する方式です。回収されたCO₂は地中深部に輸送・圧入され、長期にわたり貯留されます。ボランタリー市場ではまだ普及していませんが、削減が困難な産業分野では中核ソリューションとされています。
16. 溶剤の使用
このカテゴリーには、脱脂、洗浄、塗装などで使用される産業用溶剤の排出を削減するプロジェクトが属しています。一般的なケースではありませんが、低炭素溶剤への転換、工程改善、揮発性有機化合物(VOC)の排出を防止する回収技術などがここに含まれます。
17. ブルーカーボン(開発中)
Verraは、海洋生態系ベースのカーボンオフセットに重点をおいたブルーカーボン分野を17番目のスコープとして新たに導入しました。ここには炭素を吸収・貯留する海藻類養殖などについての初期手法も含まれます。まだこのカテゴリーでカーボンクレジットが発行されたことはありませんが、海洋生態系をベースとした気候変動対策への関心が高まっていることを反映しています。 Verraの最新手法や分野別カテゴリーに関する情報は、verra.orgでご確認いただけます。